「スタッフのコラム」を更新しました!(R3.12.1)

 

 12月になり本格的に冬が近づいてきました。寒い朝は布団から起き上がるのを辛く感じますね。布団に纏わる話という訳ではありませんが,今回のコラムでは「安心毛布」というテーマで話をしていきたいと思います。

 

 さて,スヌーピーで有名なPEANUTSという漫画に登場するライナスというキャラクターは,いつもお気に入りの青い毛布を携える姿がトレードマークです。このライナスの毛布を「安心毛布」と呼ぶようです。乳幼児は断乳などによる不安やストレスを和らげるために毛布やタオル,ぬいぐるみなどを肌身離さず持ち安心を得ることがあります。そういった愛着対象を心理学では「安心毛布」と呼びます。

 

 またイギリスの精神科医ドナルド・ウィニコットが提唱した「移行対象」という概念は,この「安心毛布」の観点から解説されることがあります。「移行対象」とは移行期と呼ばれる1~3歳頃に肌身離さず持つ無生物の対象で,特に不安が高まったときに抱きしめたり握りしめたりする愛着対象を指します。

 乳幼児は必要に応えてくれる母親に依存し,常に欲求が満たされることで全能感という錯覚を持ちます。ウィニコットによると,移行期に躾などが始まることでその錯覚が崩壊されるといいます。それによって,子どもは失敗し,欲求不満の体験や不安感を持ちますが,この時に   母親の感覚を思い出させる移行対象に触れることで,欲求不満や不安を軽減させようと試みます。

 子どもの主体性などが育つと外の世界と安定した相互作用ができるようになり,全能感は適度な自尊心へと変化していくといいます。このことをウィニコットは脱錯覚と呼びました。移行対象は乳幼児期の脱錯覚されていく過程における代理的対象になるのです。

 

 子どもは環境が大きく変化する時に不安を抱きますが,その不安感情を和らげようと「安心毛布」を持ち続ける様子がみられることがあります。「安心毛布」から無理に離そうとせず,それが自立の一歩であると理解して,見守ることが大切かもしれません。

 

城戸